子音
原則は以下の表の通り。
| א | ב | ג | ד | ה | ו | ז | ח | ט | י | כ |
| ʔ | b | g | d | h | w | z | ħ | ṭ | y | k |
| ל | מ | נ | ס | ע | פ | צ | ק | ר | ש | ת |
| l | m | n | s | ʕ | p | ṣ | ḳ | r | Š | t |
- BGDKPT は摩擦音化する場合(=ダゲシュがつかない場合)、マクロンをつけて ḇ, ḡ, ḏ, ḵ, p̄, ṯ のように書く。
- 強ダゲシュは子音を重ねて2文字で書く。弱ダゲシュは1文字。
- 語末形は区別しない。
- Matres lectionis は上付き文字 ʷ, ʸ, ʰ で書く。
- マピークのついたヘーは子音字として扱うため、上付き文字にしない。
- רֹאשׁ「頭」などのアレフを語源的な正書法による黙字(小脇§36-9)とみなす場合、上付き文字の ˀ にする。
- שは点を打たない場合Šと転写する。שׁはš、שׂはś。
母音記号
| אַ | אֶ | אָ | אֵ | אֹ | אִ | אֻ | אְ | אֲ | אֱ | אֳ |
| a | ɛ | ɔ | e | o | i | u | (なし) | ᵃ | ᵋ | ᵓ |
- シュヴァは一貫して表記しない。複合シュヴァは上付き文字。
- カマツの読み分けはしない。
- 先読みのパタハは上付き文字 ᵃ で書く。
抑揚記号(朗誦記号)
小脇文法では基本的に無視しているが、聖書本文には大量の抑揚記号(朗誦記号)がついている(小脇§36-13)。朗誦記号はアクセントのある位置に書かれるので、語末以外にアクセントがある場合はそこの母音にアキュートアクセントを書く。朗誦記号自体は基本的に転写しないが、以下のものは転写する(難しいのでひとまず無視してもよい)。
- マケフ(־)はハイフン。ソフ・パスク(׃)はコンマ。
- メテグ(אֽ)は副次アクセントを示すとされ、グレーヴアクセントを母音につける。
- アトナハ(א֑)、セゴルタ(א֒)、ザケフ(א֔)、レビア(א֗)は分離記号であり、その語のあとにコンマを打って区切る。ただし、ヨブ記・詩篇・箴言はオレー・ヴェヨレドとアトナハ、レビアでコンマを打つ。
翻字・音訳・子音転写
筑波方式には、翻字・音訳・子音転写の3つのオプションがある。翻字(transliteration)は正確にもとのテキストと1対1の対応があるものをいう。筑波方式の翻字では、字節境界にピリオドを使う(ヘブライ文字1字ごとにピリオドを打つ)。これによって、捨象した朗誦記号以外は、すべて翻字から元の文字を復元することが可能になる。
音訳では字節境界を無視し、上付き文字で書かれるもの(音韻論的に意味のないもの)も原則無視する。ただし読みやすさのため、便宜上複合シュヴァと先読みのパタハはそのまま上付き文字で書く。
子音転写は純粋に記号類をすべて無視して子音文字のみを転写する。この際、matres lectionisかどうかなども考慮する必要はない。翻字・音訳と異なり上付き文字は使わない。子音転写の1字がヘブライ文字1字に対応するので、字節境界も必要ない。たとえば神名のyhwhや、文中のケティヴ(小脇§36-11)など、翻字や音訳の中に子音転写が入ることもある。
参考文献
- 池田潤・高橋洋成・池田晶(2003)「聖書ヘブライ語のラテン文字転写について : 文字学・文字論的考察と筑波方式の提案」『一般言語学論叢』6: 61-105.
- 小脇光男(2013)「聖書ヘブライ語文法 改訂版」青山社.